犬の変形性脊椎症とは? 〜飼い主さんに知ってほしい背骨の病気〜
「最近、うちの子、なんだか背中を丸めて歩く気がする」「急に動きたがらなくなった」
そんな様子が見られたら、もしかすると変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)かもしれません。
この病気は、特にシニア期の犬に多く、背骨に異常な骨ができてしまうことで、痛みや運動障害を引き起こすことがあります。
この記事では、飼い主さんが変形性脊椎症について正しく理解し、大切なわんちゃんを守るために知っておきたい知識を、わかりやすくお伝えしていきます。
目次
1. 変形性脊椎症とは?
変形性脊椎症とは、背骨の間に骨が増殖することで関節が固まっていく病気です。
正常な背骨(脊椎)は、たくさんの骨(椎骨)が積み重なり、柔らかい椎間板によってクッションの役割を果たしています。
ところが、加齢や慢性的な負担によって椎間板が傷み、安定性が失われると、体はそれを補おうと骨を作り出して固定しようとします。
この骨の増殖が「骨棘(こつきょく)」や「骨橋(こつきょう):ブリッジ」と呼ばれます。
本来は体を守るための反応ですが、増えすぎた骨は神経を圧迫したり、背骨の動きを妨げたりして、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうのです。
2. どんな犬に多いの?
変形性脊椎症は年齢を重ねた犬(特に7歳以上)で多く見られます。
また、次のような条件に当てはまるとリスクが高まると言われています。
■ 大型犬種
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバーなど
■ 長胴短足犬種
ダックスフント、コーギーなど
■ 肥満傾向
体重が重いと背骨に負担がかかる
■ 過去に椎間板ヘルニアなど脊椎の病気をした犬
■ 激しい運動を続けてきた犬
もちろん、これらに当てはまらない小型犬でも、加齢に伴って自然に起こることもあります。
3. 主な症状
初期のうちはほとんど症状が出ないことも多いです。
しかし、病気が進行すると、次のような変化が見られることがあります。
■ 背中を触ると痛がる
■ 背中を丸めて歩く
■ 歩き方がぎこちない、後ろ足がもつれる
■ ジャンプを嫌がる、階段を上りたがらない
■ 運動量が減った、散歩に行きたがらない
■ 排尿・排便のトラブル(重症の場合)
これらのサインを「年のせいかな」と見逃してしまうこともありますが、早めに気づくことで、症状の進行を食い止める手助けができます。
4. 診断方法
変形性脊椎症の診断には、主にレントゲン検査(X線)が使われます。
レントゲンを撮ることで、椎骨の間にできた骨棘や骨橋を確認することができます。
場合によっては、より詳しい状態を把握するために、
■ CT検査
■ MRI検査
を行うこともあります。
特に、神経の圧迫症状(後ろ足の麻痺や排泄トラブル)が出ている場合には、精密検査が推奨されることがあります。
また、歩き方のチェック(歩行検査)や触診(痛みの有無をみる検査)も大切です。
5. 治療はどうするの?
5-1. 保存療法(手術をしない治療)
ほとんどのケースでは、まず保存療法が選ばれます。
■ 痛み止めや消炎剤の内服
■ 体重管理(肥満対策)
■ 運動制限(激しい運動を避ける)
■ 生活環境の改善(滑らないマットを敷くなど)
■ サプリメントの併用(関節保護成分を含むもの)
これらの対応によって、痛みを和らげ、症状の進行をゆっくりにすることを目指します。
5-2. 手術療法
もし、神経の圧迫がひどく、麻痺や排泄障害が起きている場合は、外科手術が必要になることもあります。
手術では、神経を圧迫している骨を削ったり、背骨を安定させるために固定したりする処置が行われます。
ただし、年齢や全身状態によって手術が難しいケースもありますので、担当の獣医師とよく相談しながら決めていくことが大切です。
6. 日常生活でできるサポート
わんちゃんが変形性脊椎症と診断された場合、飼い主さんができるサポートがとても重要です。
■ 床に滑り止めマットを敷く
滑りやすいフローリングは要注意
■ 段差を減らす
ベッドやソファにはステップを用意
■ 抱っこの仕方に注意
背骨をねじらないように支える・縦抱きを避け、横抱きにするなど
■ 適度な運動を続ける
無理のない範囲で散歩を
■ 体重を適正に管理する
肥満は厳禁
■ 定期的な健康チェックを受ける
進行具合をチェック
ちょっとした工夫でも、背骨への負担を減らし、生活の質(QOL)を守ることができます。
7. 予防できるの?
完全に防ぐことは難しい病気ですが、リスクを減らすためにできることはたくさんあります。
■ 幼い頃から適正体重を維持する
■ 激しすぎるジャンプや運動を控える
■ 背骨に負担のかかりにくい生活環境を整える
■ 年に一度は健康診断を受ける
特に、高齢犬になったら年に一度はレントゲン検査を受けると、早期発見につながります。
おわりに
変形性脊椎症は、シニア犬にとってごく身近な病気です。
そして、症状が出てしまったからといって、あきらめる必要はありません。
適切な治療と、飼い主さんの愛情あるサポートがあれば、
わんちゃんは痛みをコントロールしながら、穏やかで楽しい生活を続けることができます。
「年だから仕方ない」と決めつけず、
「これからも一緒に楽しく暮らすために、できることをしていこう」
そんな気持ちで、愛犬と向き合っていただけたらと思います。
ぶんペットクリニック
愛知県岡崎市上和田町森崎45
当院は、岡崎市にある動物病院で、予防診療からセカンドオピニオンまで広く対応しております。
適切な診断と治療、丁寧なインフォームドコンセントを重要視して日々診療しております。
岡崎市周辺の方で、犬の変形性脊椎症でお困りの際は、ぜひ当動物病院にご相談ください。
