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犬の白血病とは?症状・診断・治療法を獣医師がやさしく解説【血液のがん】

犬の白血病とは?

― 免疫の異常から始まる「血液のがん」について詳しく知る ―

犬の白血病は、血液のがんのひとつであり、見た目では分かりにくいにもかかわらず、体の中で静かに進行していく病気です。

この記事では、「白血病とは何か?」という基本から、分類、症状、診断、治療、そして今後の生活についてまで、詳しく解説します。

 

 

 

 

1. 白血病とは何か?

白血病(leukemia)は、「白血球(免疫細胞)」を作り出す骨髄(こつずい)という器官に異常が起こり、がん化した白血球が過剰に増殖してしまう病気です。

正常な白血球は、体内に侵入した細菌やウイルスを退治する役割がありますが、白血病になると「未熟で機能しない白血球」が大量に作られます。

これにより以下のような問題が起こります。

健康な赤血球・血小板が作られにくくなる(貧血・出血傾向)

異常白血球によって免疫力が低下する(感染症リスク増加)

全身の臓器に悪影響を及ぼす(浸潤)

白血病は「血液のがん」と表現されることがありますが、その本質は「骨髄での細胞の異常増殖」です。

 

 

2. 白血病の分類:急性と慢性の違い

犬の白血病は、進行速度や細胞の成熟度によって大きく2つに分けられます。

分類 略称 特徴
急性白血病(Acute) ALL, AML 未熟な白血球(芽球)が急激に増える。進行が早く、症状も急性。
慢性白血病(Chronic) CLL, CML 比較的成熟した異常な白血球がゆっくり増加。進行は緩やか。

さらに、白血球の系列によっても分類されます。

リンパ性白血病(Lymphoid)

リンパ球ががん化したもの(ALL、CLL)

骨髄性白血病(Myeloid)

顆粒球や単球などががん化したもの(AML、CML)

🐾 犬ではCLL(慢性リンパ性白血病)とALL(急性リンパ性白血病)が比較的多いと報告されています。

ちなみに、犬のリンパ腫もリンパ球ががん化するという点では似たような病態です。

ただし、発生部位が異なります。

リンパ腫の場合は、体表のリンパ節やその他内臓から発生し、白血病は骨髄や末梢血での腫瘍の増殖が中心です。

リンパ腫の場合も、進行してくると末梢血中に腫瘍細胞が浸潤し、白血病と似たような状態になります。

 

犬のリンパ腫についてはこちらの記事も参考にしてください

犬のリンパ腫とは?症状・診断・治療法を獣医師が丁寧に解説

 

 

3. 主な症状と経過

白血病の症状は、異常細胞の種類や病型によって異なりますが、以下のような一般的な兆候があります。

主な症状

元気消失・倦怠感(赤血球減少=貧血や、全身の炎症による)

食欲不振、体重減少

歯茎や皮膚からの出血(血小板減少)

発熱(白血病による炎症反応)

リンパ節や脾臓の腫れ(特にCLL)

呼吸の乱れや咳(肺浸潤、胸腔内リンパ節腫大や貧血による)

 

慢性型では、最初は無症状で、定期健診の血液検査で偶然見つかることもあります。

 

 

4. 診断方法

白血病の診断には、以下のようなステップが必要です。

血液検査(CBC)

白血球数の異常、赤血球・血小板の減少、異常な白血球(芽球)の出現などを確認します。

数値だけで分からない場合は、実際に血液塗沫を作成して、目視で血球を確認する場合もあります。

 

骨髄穿刺(こつずいせんし)

白血病を確定診断するために必須。

骨盤や上腕骨などから針を使って骨髄液を採取し、芽球の割合を調べます。

芽球が25%以上を占めると白血病と診断されます。

免疫染色

白血病細胞の「型」(リンパ性 or 骨髄性)を分類するために用いられる専門的な検査です。

FNA(細胞診)

リンパ節の腫大があった場合に、リンパ節の細胞を採取し、それが診断に結びつく場合があります。

 

 

5. 治療法:白血病とどう向き合うか?

犬の白血病に対する治療は、「完治」よりも「延命と生活の質(QOL)の維持」が主な目標になります。

主な治療選択肢

化学療法(抗がん剤治療)

多剤併用プロトコール(例:L-CHOPなど)が採用されることも

CLLの場合、単剤(クロラムブシル+プレドニゾロン)で良好な経過をとることもある

支持療法

点滴(脱水・栄養補助)

輸血(重度貧血時)

抗菌薬(免疫低下時の感染予防)

鎮痛・緩和ケア

進行例では疼痛や呼吸苦などへの緩和治療も重視されます。

💡治療の反応は犬種・病型・個体差によって異なるため、治療開始前に予後や治療目的をよく話し合うことが重要です。

 

 

6. 予後と生活の質(QOL)

ALLやAMLなど急性型白血病は治療開始から数ヶ月以内に予後が決まることが多く、生存期間は平均で1〜6ヶ月程度とされています。

一方でCLLなどの慢性型は、1〜3年程度の生存も可能な場合があります。

特にCLLは無症状で経過することもあり、「経過観察」や「緩やかな治療」で長く共に暮らすケースもあります。

 

 

7. 飼い主様にできること

定期的な血液検査の受診

特にシニア犬では年に1〜2回

免疫力の維持

清潔な環境、栄養バランスの良い食事

変化に敏感になる

少しの元気低下や食欲不振も要注意

メンタルケア

飼い主の不安はペットにも伝わります。

必要に応じて病院と連携しながら「できるケア」を一緒に考えましょう。

 

 

8. 早期発見が鍵

白血病は進行の早いものもあり、「いつもの元気がない」を見逃さないことが非常に大切です。

早期の血液検査で異常が発見されれば、治療の選択肢も広がります。

大切な家族の一員である愛犬のために、「知ること」「気づくこと」が最大の予防策です。

そして、治療においても「最適な選択肢」は犬の状態や家庭の状況によって異なります。

信頼できる獣医師と二人三脚で、犬の健康と幸せを支えていきましょう

 

 

 

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