犬の腸閉塞(イレウス)〜早期発見が命を守る〜
目次
1. 腸閉塞とは?
犬の腸閉塞は、腸の中に食べ物や異物が詰まり、胃から腸への通り道がふさがれてしまう状態です。
水分や栄養が先へ進まないため、短時間で体調が急変し、命に関わることもあります。
原因の多くは「誤飲」です。
✔ 靴下や下着
✔ ゴムボール、プラスチック片
✔ トウモロコシの芯、桃の種
✔ ヒモや布切れ
✔ 骨や竹串
また、腫瘍や腸のねじれ(腸捻転)、腸が腸の中に入り込む(腸重積)などでも起こります。
2. 主な症状
腸閉塞は、進行具合や詰まり方によって症状が変わりますが、典型的には以下のようなサインがあります。
✔ 繰り返し吐く(食べても水を飲んでも吐く)
✔ 食欲がない、元気がない
✔ 便やガスが出ない
✔ 腹痛で落ち着かない、背中を丸めてじっとしている
✔ よだれが増える
✔ 呼吸が早くなる、ぐったりする
これらが見られたら迷わず動物病院へ。
特に誤飲の可能性がある場合は時間との勝負です。
3. 診断の流れ
動物病院では、まず飼い主さんから経過や誤飲の有無を詳しく聞きます。
その後、以下のような検査で状態を確認します。
1. 触診
- 腹部の張りや痛み、しこりの有無を確認します。
2. 画像検査
- レントゲンで腸管のガスや異物を確認
- 超音波で腸の動きや内容物の停滞を見る
- 必要に応じて造影検査やCTで詳しく調べる
3. 血液検査
- 脱水の程度や炎症反応、臓器の状態を調べ、手術や麻酔の安全性を確認します。
4. 治療の方法
■ 保存療法(手術なし)
・催吐処置
- 異物が胃内にあり、飲み込んで間もない場合は吐かせる注射で排出を試みます。
・内視鏡摘出
- 内視鏡で異物を取り出せる場合は開腹せずに処置します。
・支持療法
腸の動きが一時的に止まっている場合は絶食・点滴・薬で回復を待ちます。
■ 外科手術
異物が腸で完全に詰まっている場合や、腸が傷んでいる場合は開腹手術が必要です。
手術内容は詰まりの原因や腸の状態によって異なります。
- 腸を切開して異物を取り出す(腸切開)
- 腸の閉塞物を胃へ移動させて、胃を切開して異物を取り出す(胃切開)
- 壊死した腸を切除し、健康な部分同士をつなぐ(腸切除)
- 腫瘍や重度の損傷がある場合は広範囲の切除
5. 入院と回復
■ 入院期間の目安
・手術あり
- 2日〜1週間程度(腸の状態や回復具合による)
・手術なし
- 日帰り〜数日程度
■ 入院中のケア
- 点滴で水分・栄養補給
- 痛み止めや抗生物質の投与
- 嘔吐や排便の様子をモニタリング
- 傷口の管理と安静
■ 退院後の注意
- 消化の良い食事を少量ずつ与える
- 激しい運動やジャンプは2〜4週間控える
- 傷口や体調の変化を毎日チェック
- 嘔吐や下痢、元気消失があればすぐ再診
6. 費用の目安
■ 催吐処置
数千円〜
■ 内視鏡摘出
8〜20万円前後
■ 開腹手術(検査・入院込み)
15〜35万円前後
ペット保険が適用されれば、自己負担は大幅に減らせます。
※犬種や病院、状態により異なります
7. 再発予防のポイント
✔ 家の中の危険物を片付ける(靴下、小物、おもちゃの部品など)
✔ おやつや与える物は大きさ・形に注意
✔ 散歩中の拾い食い防止(短いリードや口輪)
✔ 誤飲しやすい癖のある犬は日常的に観察を強化
8. まとめ
腸閉塞は放置すると短時間で命に関わる危険な病気です。
「吐いているけど様子を見よう」ではなく、早めの受診が命を救います。
普段から誤飲防止と健康観察を心がけ、もしものときは迷わず動物病院へ。
