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犬猫の気胸とは|症状・原因・診断・治療・再発予防まで解説

犬猫の気胸(ききょう)とは 〜突然の呼吸困難、その影に潜む危険〜

 

 

 

1. 気胸とは?

気胸(ききょう)とは、本来は空気が入ってはいけない胸腔(きょうくう)というスペースに空気がたまってしまい、肺が圧迫されて縮んでしまう病気です。

肺は薄い膜(胸膜)で包まれており、普段、胸腔内は「真空に近い陰圧」です。

この陰圧が肺を外側から引き広げる力になっています。

ところが、肺や気道が破れて空気が漏れると、この陰圧が失われ、肺がしぼんでしまい、呼吸がしづらくなるのです。

犬や猫では、事故や病気、時には何の前触れもなく突然発症することがあります。

場合によっては命に関わるため、早期発見・早期対応がとても重要です。

 

 

2. 気胸の原因

気胸の原因は、大きく4つに分けられます。

 

1. 外傷性もっとも多い原因)

- 交通事故

- 高所からの落下(猫のマンション転落事故など)

- 他の動物とのケンカによる咬傷

- 鋭利なもので胸を刺すような事故

外傷によって肺や気道に穴が開き、空気が漏れて胸腔にたまります。

血液が同時にたまる「血胸」を伴うこともあります。

 

2. 自然発生性(特発性)

外傷や手術などがなくても、肺の表面にできたブラ(小さな空気の袋)やブレブ(薄い膜のふくらみ)が破れて起こります。

特に大型で胸が深い犬種(シベリアンハスキーなど)に多く見られます。

猫では比較的まれで、多くは後述の続発性に含まれます。

 

3. 続発性(病気に伴うもの)

肺や気道の病気が原因で発症します。

- 肺炎や重度の気管支炎

- 肺腫瘍

- 肺の寄生虫(肺虫、犬糸状虫)

- 猫の喘息

こうした病気で肺がもろくなり、破れやすくなります。

 

4. 医原性

診断や治療のための処置が原因で起こるものです。

胸の水を抜く「胸腔穿刺」や、肺の一部を取る「肺生検」などで偶発的に発生することがあります。

人工呼吸器による過剰な圧力でも肺が破れることがあります。

 

 

3. 発症のメカニズム

胸腔に空気がたまると、肺は外側から押されて縮みます。

縮んだ肺では酸素を取り込む面積が減るため、血液中の酸素が不足し、呼吸困難チアノーゼ(舌や粘膜が紫色になる)が起こります。

特に危険なのは緊張性気胸と呼ばれる状態です。

これは、吸うときだけ胸腔に空気が入り、吐くときには外に出ない「逆止弁」のような状態になってしまうものです。

胸腔内の圧力が急激に上がり、肺だけでなく心臓や大血管まで圧迫してしまい、ショック状態から命を落とす危険があります。

 

 

4. 好発犬種・猫種・年齢

■ 犬

大型犬で胸が深い犬種(シベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、ボルゾイなど)で特発性気胸が多く見られます。

外傷性は犬種を問わず発生します。

 

特定の猫種での発生傾向ははっきりしていませんが、喘息や肺炎などの呼吸器疾患を持つ猫で起こりやすい傾向があります。

 

年齢や性別による大きな差はありません。

 

 

5. 主な症状

飼い主さんが気づきやすいサインは以下の通りです。

特に猫では、呼吸が苦しいのに鳴かない・咳をしないことが多く、「ただじっとしているだけ」に見える場合があります。

これらの症状が急に出た場合は、一刻も早く動物病院へ。

 

 

6. 診断方法

1. 身体検査

- 聴診で肺や心臓の音が弱くなっていることがあります。

 

2. 画像検査

レントゲン

- 肺が縮んで心臓の周囲が黒く抜けて見える(空気がたまっている)像が特徴的です。

CT検査

- ブラや腫瘍など、原因の特定に有効です。

エコー検査

- 胸膜の動きがない所見を確認することで気胸が疑われます。

 

3. 胸腔穿刺

胸に針を刺し、空気が抜ければ気胸と診断できます。

これは治療も兼ねます。

 

 

7. 治療方法

1. 酸素療法

- 酸素室や酸素マスクで酸素濃度を上げ、呼吸を助けます。

 

2. 胸腔穿刺(脱気)

- 針やカテーテルで胸腔内の空気を抜き、肺を膨らませます。

- 症状が軽くても、再び空気がたまることがあるため注意が必要です。

- 時には、自己血を胸腔内に投与し、癒着を促進させる場合もあります。

 

3. 胸腔ドレナージ

- 繰り返し空気がたまる場合はチューブを胸に入れて、持続的に空気を排出します。

 

4. 外科手術

- 再発を繰り返す

- ブラや腫瘍が原因

※この場合は開胸して問題の肺の一部を切除します。

外科手術により再発率を大きく下げられます。

 

 

8. 予後と再発の可能性

■ 外傷性気胸

原因を取り除けば再発は少なく、予後は良好です。

 

■ 特発性・続発性気胸

内科治療のみだと再発率は高く(約半数)、外科手術で再発率を大きく減らせます。

 

■ 基礎疾患あり

肺腫瘍や重度の肺炎などでは予後は基礎疾患に依存します。

 

 

9. 飼い主さんができる予防

 

 

10. まとめ

解説・治療・当院の取り組み

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