犬猫の血液検査でわかることとは?
〜「健康の見えない異変」を数値で見つける大切な検査〜
「最近ちょっと元気がない気がする」「健康そうだけど年齢も気になるし…」
そんな時、愛犬・愛猫の体の中で何が起きているのかを調べる最も有効な方法が「血液検査」です。
わんちゃん、ねこちゃんは言葉で不調を訴えることができないため、飼い主が見落としがちな病気の初期兆候も、血液検査なら早期に発見できることがあります。
本記事では、犬の血液検査で具体的にどんなことが分かるのか、どのような項目があるのか、そしてどう活用すればよいかを詳しく解説します。
目次
1. 血液検査の目的とは?
血液は「体の状態を映す鏡」とも言われます。
赤血球・白血球・血小板・血漿成分などを分析することで、以下のような情報を得ることができます。
■ 貧血の有無
■ 感染症や炎症の兆候
■ 内臓(肝臓・腎臓・膵臓など)の機能
■ 電解質バランスや脱水の程度
■ ホルモン異常(甲状腺、糖尿病など)
■ がんの兆候
症状が出ていない段階でも、異常値が先に表れることがあるため、健康診断としての血液検査も非常に重要です。
2. 主な血液検査の種類と項目
血液検査には、いくつかのカテゴリーがあります。
それぞれの目的と項目について解説します。
① 一般血球検査(CBC:Complete Blood Count)
血液中の「細胞成分(赤血球、白血球、血小板)」の数や大きさを測定します。
| 項目 | 内容 | 意味すること |
|---|---|---|
| 赤血球数、ヘモグロビン、PCV(HCT) | 酸素を運ぶ成分 | 低下すると「貧血」 |
| 白血球数(WBC) | 免疫に関わる細胞 | 増加=感染・炎症、減少=免疫低下 |
| 血小板数 | 止血に関わる成分 | 減少すると出血しやすくなる |
※赤血球の大きさや形、若い赤血球の割合(網赤血球数)などを調べることで、「貧血の種類」も推測できます。
② 生化学検査(血液化学検査)
臓器の機能や代謝状態を数値でチェックする検査です。
主要な項目とその意味
| カテゴリー | 主な項目 | 意味 |
|---|---|---|
| 肝臓 | ALT, AST, ALP, GGT, T-Bil | 肝炎、胆管障害、脂肪肝、腫瘍など |
| 腎臓 | BUN, CRE, SDMA | 腎不全、脱水、尿毒症など |
| 膵臓 | AMY, LIPA | 膵炎、消化異常 |
| 代謝 | GLU(血糖値) | 糖尿病や低血糖の有無 |
| 蛋白 | TP, ALB, Glob | 栄養状態、慢性炎症、腫瘍 |
| 脂質 | T-Cho, TG | 高脂血症、内分泌疾患の兆候 |
⚠️ 各項目は「単独で評価するのではなく、複数の項目や臨床症状と組み合わせて総合判断」する必要があります。
関連記事はこちら
犬猫の肝数値の見方|ALT・ALP・TBAなどの血液検査を獣医師が徹底解説
③ 電解質検査
ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)など、体の水分バランスや神経伝達に関わるミネラルの状態を見ます。
■ 下痢や嘔吐による脱水や電解質の乱れ
■ 副腎皮質機能低下症(アジソン病)などのホルモン性疾患の発見にも有用
④ ホルモン検査・特殊検査
必要に応じて、以下のようなより詳細な検査を追加することがあります。
■ 甲状腺ホルモン(T4、fT4)
甲状腺機能低下症の診断
■ 副腎ホルモン(コルチゾール)
アジソン病、クッシング症候群の評価
■ 炎症マーカー(CRP)
犬の全身性炎症の重症度判定
■ 炎症マーカー(SAA)
犬の全身性炎症の重症度判定
■ 犬・猫特異的リパーゼ(Spec cPLおよびSpec fPL)
膵炎の診断に有用
■ SDMA
早期腎障害の感度が高いマーカー
3. 血液検査からわかる代表的な病気
血液検査の異常値から疑われる代表的な病気を簡単に紹介します。
| 疑われる疾患 | 主な異常値 |
|---|---|
| 貧血 | 低ヘモグロビン、低PCV、低赤血球数 |
| 感染症・炎症 | 白血球増加、CRP上昇 |
| 肝機能障害 | ALT, AST, ALP, T-Bil上昇 |
| 腎不全 | BUN, CRE, SDMA上昇 |
| 糖尿病 | 高GLU(空腹時) |
| 甲状腺機能低下症・亢進症 | 低T4、低fT4 |
| クッシング症候群 | 高ALP、高コレステロール、白血球変化 |
| 白血病・腫瘍 | 異常な白血球増殖、蛋白異常など |
もちろん、これだけで確定診断にはなりませんが、「身体の異常をキャッチする初期警報」として非常に有効です。
4. 血液検査を受けるタイミングと頻度
血液検査は「具合が悪くなった時」だけでなく、定期的な健康チェックとして受けることが重要です。
推奨頻度の目安
| ライフステージ | 検査頻度 |
|---|---|
| 若齢(1歳〜6歳) | 年1回(ワクチンやフィラリア検査と一緒に) |
| シニア(7歳以上) | 年2回以上が推奨 |
| 持病がある犬猫 | 病態に応じて月1回〜数ヶ月に1回 |
また、手術前の全身状態チェックにも血液検査は欠かせません。
5. 検査結果をどう活かすか?飼い主にできること
📝検査結果を受け取ったら…
■ 数値の増減だけでなく、「過去との比較」が大切
■ 高すぎる/低すぎる値があれば、再検査や追加検査で原因を探る
■ 数字に一喜一憂せず、「全体のバランス」で判断する視点を持ちましょう
👩⚕️獣医師との会話を大切に
■ 分からない用語は遠慮せずに質問を
■ 治療方針や経過観察の意味を納得した上で進めましょう
■ 生活環境(食事、ストレス、運動など)を一緒に見直すことも大切です
6.まとめ ~血液検査は、未来の病気を予防するツール~
血液検査は「病気の発見」だけでなく、「健康を確認する」ためにも欠かせない検査です。
特に犬猫は年齢の進行が早く、人間の4〜5倍のスピードで老化が進みます。
その分、病気の進行も早いため、定期的なチェックが健康寿命の延伸に直結します。
「見た目は元気」でも、体の中はそうとは限りません。
大切な家族の一員である愛犬が、できるだけ長く、快適に暮らせるように、血液検査を上手に取り入れていきましょう。
ぶんペットクリニック
愛知県岡崎市上和田町森崎45
当院は、岡崎市にある動物病院で、予防診療からセカンドオピニオンまで広く対応しております。
適切な診断と治療、丁寧なインフォームドコンセントを重要視して日々診療しております。
岡崎市周辺の方で、犬猫の血液検査でお困りの際は、ぜひ当動物病院にご相談ください。
