犬・猫の子宮蓄膿症について
目次
1. はじめに
✔ 陰部から膿のようなものが出ている
✔ 急に元気がなくなった
✔ 水を異常にたくさん飲む
こうした症状が見られた場合、子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)という命に関わる病気が隠れている可能性があります。
子宮蓄膿症は、避妊手術をしていないメス犬・メス猫に起こる重篤な疾患で、発見が遅れると敗血症や臓器不全を引き起こし、死亡率が高くなることもあります。
一方で、早期に適切な治療を行えば救命率は大きく改善します。
本記事では、子宮蓄膿症について、病気の仕組み、症状、診断方法、治療、予後、予防と日常の注意点を、飼い主さん向けに詳しく解説します。
2. 子宮蓄膿症とは?
子宮蓄膿症とは、子宮の中に膿(細菌と白血球、分泌物)が大量に溜まる病気です。
主に発情後(黄体期)に起こり、ホルモン(特に黄体ホルモン:プロゲステロン)の影響が大きく関与します。
黄体ホルモンは
✔ 子宮内膜を厚くする
✔ 子宮の免疫防御を弱める
✔ 子宮収縮を弱める
という作用があり、この状態で細菌が侵入すると、膿が排出されずに子宮内に溜まってしまうのです。
3. なりやすい動物
■ 犬
- 避妊手術をしていない中高齢犬(6歳以上が多い)
- 出産経験の有無は関係なし
- 小型犬〜大型犬すべてで発症
■ 猫
- 犬ほど多くはないが、未避妊の成猫で発生
- 発情を繰り返す猫でリスクが高まる
4. 子宮蓄膿症のタイプ
■ 開放型子宮蓄膿症
- 子宮頸管が開いている
- 陰部から膿・血液・悪臭のある分泌物が出る
- 比較的気づきやすい
■ 閉鎖型子宮蓄膿症
- 子宮頸管が閉じている
- 膿が体外に出ない
- 腹部膨満・全身状態の急激な悪化
👉 閉鎖型は特に危険で、子宮破裂・腹膜炎・敗血症のリスクが高いです。
5. 主な症状
■ 初期〜中等度
✔ 元気がない
✔ 食欲低下
✔ 水をたくさん飲む(多飲)
✔ 尿の量が増える(多尿)
✔ 陰部を気にする
■ 進行すると
✔ 嘔吐、下痢
✔ 発熱または体温低下
✔ 腹部膨満
✔ 脱水
✔ ぐったりして動けない
✔ 呼吸が荒い
👉 「発情が終わってから1~2か月以内」に起こることが多いのが特徴です。
6. なぜ「水をたくさん飲む」のか?
子宮蓄膿症では、細菌毒素(エンドトキシン)が血中に回り、
✔ 腎臓の働きを低下させる
✔ 尿を濃くできなくなる
その結果、多飲多尿が起こります。
血液検査で「腎臓の値が悪い」と言われ、検査を進めた結果、子宮蓄膿症が見つかるケースも少なくありません。
7. 診断方法
■ 問診・身体検査
- 発情歴
- 避妊手術の有無
- 陰部からの分泌物
- 腹部触診
■ 画像検査
◆ 超音波(エコー)検査【最重要】
- 子宮内に液体が溜まっているのを確認
- 膿・粘液・血液の鑑別
◆ レントゲン検査
- 拡張した子宮陰影
- 妊娠との鑑別
■ 血液検査
- 白血球増加
- 炎症反応上昇
- 腎数値(BUN・クレアチニン)上昇
- 电解質異常
8. 治療方法
基本は「外科手術」
子宮・卵巣摘出手術(緊急避妊手術)が第一選択です。
■ 手術の目的
- 感染源である子宮を完全に取り除く
- 敗血症・臓器障害を防ぐ
■ 術前・術後には
- 点滴治療
- 抗生物質
- 痛み止め
- 状態によっては輸血
などの集中的治療が行われます。
■ 内科治療(注意が必要)
- 将来の繁殖を強く希望する場合など
- 成功率が低く再発率が高い
- 状態が急変するリスクあり
👉 一般的には推奨されません。
9. 手術のリスク
✔ 高齢
✔ 脱水
✔ 腎不全
✔ 敗血症
などを伴う場合、麻酔・手術リスクは上がります。
しかし、手術をしなければ助からない病気である点が非常に重要です。
10. 予後
■ 早期発見・早期手術
- 回復率は非常に高い
- 手術後は通常の生活に戻れる
■ 発見が遅れた場合
- 敗血症
- DIC
- 腎不全
などを併発し、死亡率が上昇します。
11. 予防方法
■ 最も確実な予防
✔ 若齢期での避妊手術
避妊手術は
✔ 子宮蓄膿症の予防
✔ 乳腺腫瘍の発生率低下
という大きなメリットがあります。
12. 飼い主さんに知っておいてほしいこと
✔ 「年齢が高いから仕方ない」は危険
✔ 陰部の分泌物は必ず異常
✔ 発情後の体調変化に注意
✔ 避妊していなければ一度は必ず検討すべき病気
13. まとめ
子宮蓄膿症は
✔ 未避妊のメス犬・メス猫に起こる
✔ 進行が早く
✔ 命に関わる
非常に危険な疾患です。
一方で、
✔ 適切なタイミングで避妊手術を行う
✔ 早く異変に気づき、すぐに治療する
ことで、防ぐ・助けることが可能な病気でもあります。
岡崎市で「元気がない」「水をたくさん飲む」「陰部から変なものが出ている」と感じた場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
ぶんペットクリニックでは、子宮蓄膿症の早期診断・緊急手術・術後管理まで一貫して対応し、飼い主さんにとって最善の選択を一緒に考えています。
