犬・猫の尿管結石について
目次
1. はじめに
✔ 急に元気がなくなった
✔ 食欲が落ちている
✔ 腎臓の数値が急に悪化したと言われた
こうした症状の原因として、近年とくに増えているのが尿管結石(にょうかんけっせき)です。
尿管結石は、腎臓から膀胱へ尿を運ぶ“尿管”に結石が詰まる病気で、犬・猫ともに発症しますが、特に猫で多く、緊急性が高い疾患として知られています。
放置すれば腎臓の機能が急速に低下し、命に関わることもあります。
この記事では、尿管結石について、病気の仕組み、症状、診断方法、治療の選択肢、予後と日常管理を、分かりやすく解説します。
2. 尿管結石とは?
尿は
腎臓 → 尿管 → 膀胱 → 尿道
という経路で体外に排出されます。
尿管結石は、
✔ 腎臓でできた結石
✔ 腎盂や尿管内で形成された結石
が尿管内に詰まり、尿の流れを妨げる状態です。
尿管は非常に細く、特に猫では直径1mm以下のため、
👉 わずか数mmの結石でも容易に閉塞を起こします。
3. なりやすい動物
■ 猫
- 中〜高齢猫に多い
- オス・メス差は小さい
👉 猫の尿管結石の約90%以上がシュウ酸カルシウム結石とされています。
■ 犬
- 中高齢犬に多い
- 小型犬に比較的多い
犬では膀胱結石に比べると発生頻度は低い
4. 尿管結石の怖いポイント
■ 片側でも命取りになる
片方の尿管が詰まるだけでも
- 腎臓の圧が上昇
- 腎実質が壊死
- 数日で腎機能が不可逆的に低下
特に猫では、
✔ 片側閉塞
✔ すでに反対側の腎機能が低下している
という状況が多く、急性腎不全に陥りやすいです。
■ 症状が分かりにくい
犬のような強い痛みが出ないケースも多く、
✔ なんとなく元気がない
✔ 食欲がない
といったあいまいな症状だけの場合も珍しくありません。
5. 主な症状
■ 初期〜軽度
✔ 食欲低下
✔ 元気消失
✔ じっとして動かない
✔ 体重減少
■ 進行すると
✔ 嘔吐
✔ 脱水
✔ 腹部・腰部の痛み
✔ 尿量の減少
✔ 血液検査で急激な腎数値悪化
※猫では「排尿できない」症状が目立たないことも多い
6. 診断方法
■ 画像診断が最重要
◆ レントゲン検査
- シュウ酸カルシウム結石は造影されやすい
- ただし尿管は見えにくいことも多い
◆ 超音波(エコー)検査
- 尿管の拡張
- 腎盂の拡張(水腎症)
- 結石の存在
👉 尿管結石診断の中心
◆ CT検査
- 結石の位置・数・サイズを正確に把握
- 治療方針(内科か外科か)の判断材料
■ 血液検査・尿検査
- BUN・クレアチニン・SDMA
- 電解質異常
- 尿比重・尿沈渣
- 腎機能への影響評価に必須
7. 治療方法
尿管結石は
👉 「自然に流れるのを待つ病気ではありません」
結石の
- 大きさ
- 閉塞の程度
- 腎機能の状態
により治療方針が決まります。
■ 内科的治療(保存療法)
適応は限定的です。
◆ 内容
- 点滴による利尿
- 尿管拡張薬
- 鎮痛
- 利尿薬
- 腎臓保護治療
◆ 問題点
- 猫の尿管では成功率が低い
- 完全閉塞では効果が期待できない
- 時間をかけるほど腎機能が失われる
👉 短期間(数日)で改善がなければ外科的介入を検討
■ 外科・インターベンション治療
現在の主流です。
◆ SUBシステム(皮下尿管バイパス)
- 尿管をバイパスし、腎臓→膀胱を人工的に接続
- 猫で最も多く使われる方法
- 結石再発時にも対応可能
◆ 尿管ステント
- 尿管内にチューブを設置し、尿の流れを確保
- 犬で適応されることが多い
◆ 尿管切開術(尿管結石摘出)
- 技術的に難易度が高く、現在は選択されることが減少
8. 予後
■ 良好なケース
✔ 早期発見
✔ 早期に尿の流れを確保できた
✔ 片側・短期間の閉塞
👉 腎機能がある程度回復する可能性あり
■ 注意が必要なケース
✔ 両側尿管閉塞
✔ 発見が遅れた
✔ もともと慢性腎臓病がある
👉 腎機能が回復せず、長期管理が必要
■ 再発と長期管理
尿管結石は再発しやすい病気です。
◆重要な管理ポイント
✔ 水分摂取量の確保
✔ 食事管理(結石タイプ別)
✔ 定期的な画像検査
✔ 腎数値のモニタリング
※猫の尿管結石の多くは
👉 食事だけでは溶けないシュウ酸カルシウム結石である点が重要です。
9. 飼い主さんに知っておいてほしいこと
✔ 「元気がない」だけでも重大疾患が隠れている
✔ 尿が出ていても尿管は詰まる
✔ 様子見が命取りになることがある
✔ 早期の画像診断が最大の鍵
10. まとめ
尿管結石は
✔ 見逃されやすい
✔ 進行が早い
✔ 腎臓に深刻なダメージを与える
非常に注意すべき尿路疾患です。
特に猫では
✔ 慢性腎臓病
✔ 食欲不振
✔ 原因不明の元気消失
が見られた場合、尿管結石を常に疑うことが重要です。
岡崎市で「腎臓の数値が急に悪化した」「食事を食べなくなった」「検査をしても原因がはっきりしない」と言われた場合は、尿管結石の可能性について動物病院で詳しく相談してください。
ぶんペットクリニックでは、尿管結石に対して早期診断・長期管理を重視し、動物と飼い主さんにとって最善の選択を一緒に考えています。
