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クッシング症候群の薬を続けるべき?セカンドオピニオン症例を獣医師が解説

 

クッシング症候群の薬を続けるべき?

 

 

 

 

1. 食欲低下と皮膚の悪化に悩んだワンちゃんのセカンドオピニオン

今回は、このようなお悩みで当院のセカンドオピニオンを受診されたワンちゃんの事例をご紹介します。

なお、個人や動物が特定されないよう、経過や数値の一部を変更しています。

 

 

2. クッシング症候群とは?

クッシング症候群は、

副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが、必要以上に多くなる病気です。

コルチゾールは、本来は体をストレスから守るために必要なホルモンですが、

多すぎる状態が続くと、さまざまな症状が現れます。

 

代表的な症状には、

などがあります。

 

治療には、過剰なコルチゾールの産生を抑える

「トリロスタン」という薬が使われることがあります。

ただし、薬の効き方には個体差があるため、

体調やホルモン検査の結果を見ながら、

投与量を調整することが大切です。

 

 

3. 皮膚が薄くなり、治療を始めたものの……

このワンちゃんは、

以前から徐々に皮膚が薄くなり、

皮膚炎も繰り返していました。

 

検査の結果、

甲状腺機能低下症とクッシング症候群が疑われ、それぞれに対する治療が始まりました。

クッシング症候群に対してはトリロスタンが処方されましたが、

治療開始後に食欲が落ち、

体重も減ってきたため、

薬はいったん中止されていました。

 

皮膚炎に対しては、

内服薬を飲ませることが難しかったため、

週に一度の抗菌薬注射を受けていました。

しかし、皮膚はなかなか改善せず、飼い主さんは不安を感じていました。

 

 

4. 飼い主さんが迷っていたこと

飼い主さんが特に悩まれていたのは、次のような点でした。

病気を治療するためには薬が必要だと分かっていても、

薬を飲み始めてから元気や食欲が落ちると、

治療を続けてよいのか迷うのは当然です。

 

また、ご家族の中でも、

どこまで積極的に治療を行うかについて、

少し考え方に違いがあるようでした。

 

しっかり治療したいという思いがある一方で、

普段のお世話を担当する方にとって、

複数の薬や頻繁な通院、

毎日のスキンケアが大きな負担になる可能性もありました。

 

そのため、病気だけでなく、

ご家庭で無理なく続けられる治療かどうかも考える必要がありました。

 

 

5. 当院で確認したこと

当院では、まず、これまでの検査結果や投薬内容を確認しました。

確認した主な内容は、

という点です。

 

などを行い、全身状態を改めて確認しました。

 

その結果、

これまでの経過や検査所見から、

クッシング症候群という診断自体は妥当であると考えられました。

 

一方で、超音波検査では、

なども確認されました。

血液検査では、

BUNやリンの軽度上昇もみられました。

 

ただし、

これらの異常が、すべて現在の体調不良の原因とは限りません。

食事内容や水分摂取量などの影響も考慮しながら、

どの異常を優先して治療するべきかを整理しました。

 

 

6. なぜ薬を飲むと食欲が落ちたのか?

クッシング症候群では、

一般的に食欲が強くなる傾向があります。

トリロスタンは、過剰なコルチゾールの産生を抑える薬です。

 

しかし、

薬の作用が強すぎたり、

その子の体調に対して投与量が多かったりすると、

コルチゾールが必要以上に低下し、

などがみられることがあります。

 

今回のワンちゃんでは、

薬を始めたあとに食欲が落ち、

体重も減っていたことから、

トリロスタンの量が現在の体調に合っていなかった可能性を考えました。

 

 

7. セカンドオピニオンで整理できたこと

今回の診察で、まずお伝えしたのは、

「クッシング症候群という診断自体は間違いではない」

ということでした。

 

一方で、

「診断が正しいからといって、以前と同じ量の薬をそのまま続けなければならないわけではない」

ということもご説明しました。

 

クッシング症候群を治療する目的は、

ホルモンの数値を正常にすることだけではありません。

が大切です。

 

クッシング症候群は、

放置すると皮膚炎や感染症だけでなく、

などのリスクを高めることがあります。

 

そのため、

長期的には治療を検討する必要があります。

 

しかし、

薬の影響で食べられず、

体重が減っているのであれば、

まずは現在の体調を整えることが優先です。

 

「薬を続けるか、完全にやめるか」の二択ではなく、

減薬や投与間隔の調整、

少量からの再開なども選択肢になります。

 

 

8. まずは減薬し、食欲が戻るかを確認

飼い主さんと相談し、

まずはトリロスタンを減量して、

食欲や元気、体重が回復するかを

確認する方針としました。

 

減薬によって体調が改善するのであれば、

以前の投与量が、

このワンちゃんには強すぎた可能性があります。

 

一方で、

薬を減らしたことで、

多飲多尿や皮膚症状が強くなる場合には、

体調とホルモン検査を確認しながら、再度投与量を調整します。

 

大切なのは、

一度決めた薬の量をずっと続けることではありません。

体調や検査結果に合わせて、

その子に合う量を探していくことです。

 

 

9. 皮膚には、ホルモン治療だけでなくスキンケアも必要

クッシング症候群では、

を繰り返したりすることがあります。

 

ただし、

クッシング症候群の治療を始めても、

皮膚がすぐに元どおりになるとは限りません。

皮膚や被毛の回復には、

数か月以上かかる場合もあります。

 

また、

皮膚の炎症や乾燥が強い場合には、

ルモン治療に加えて、

を併用することも大切です。

 

今回は、

を取り入れることにしました。

 

病気の根本治療だけでなく、

今つらい皮膚症状を和らげることも重要です。

 

 

10. すべての異常を一度に治療する必要はありません

今回の検査では、

クッシング症候群以外にも、

などが見つかりました。

 

検査で複数の異常を指摘されると、

「全部すぐに治療しなければならないのではないか」

と不安になる方も少なくありません。

 

しかし、

見つかった異常のすべてが、

現在の体調不良の原因とは限りません。

 

症状がなく、

緊急性が低いものについては、

定期的な検査で経過を確認することが適切な場合もあります。

 

今回は、

という順番で、治療の優先順位を整理しました。

 

 

11. ご家族が続けられる治療であることも大切

治療方針を考えるときには、

医学的にできる治療だけでなく、

ご家庭で続けられる治療かどうかも大切です。

 

複数の薬を毎日飲ませ、

シャンプーや外用薬を行い、

頻繁に通院する治療は、

理想的に見えても、

ご家族の負担が大きすぎることがあります。

 

特に、

治療方針を考える方と、

日常的なお世話をする方が異なる場合には、

希望や負担感に差が出ることもあります。

 

そのため、

を整理することが重要です。

 

完璧な治療を目指すあまり、

すべてが続かなくなってしまうよりも、

負担の少ない方法から始め、

少しずつ調整するほうが、

その子にとって良い結果につながることもあります。

 

 

12. この事例からお伝えしたいこと

セカンドオピニオンは、

診断が合っているかどうかだけを確認するものではありません。

 

今回のように、

診断自体は妥当でも、

を整理することにも、

大きな意味があります。

 

病気を治療することは大切ですが、

目の前のワンちゃんが食べられず、

元気をなくしている場合には、

一度立ち止まって治療内容を見直すことも必要です。

そのような場合も、

セカンドオピニオンを検討してよいタイミングです。

 

薬を自己判断で中止したり、

不安を抱えたまま治療を続けたりする前に、

現在の体調と治療の優先順位を一度整理してみることをおすすめします。

 

 

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