猫の慢性腎臓病(CKD)について
目次
1. はじめに
高齢の猫で最も多く見られる病気のひとつが慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)です。
10歳以上の猫の約30〜40%が罹患しているとされ、日本でも猫の死因の上位を占めています。
腎臓は一度機能が失われると再生しない臓器であるため、早期発見と進行抑制が非常に重要です。
今回は猫の慢性腎臓病について、原因・症状・診断・治療・予防・日常ケアまで、飼い主さん向けに詳しく解説します。
2. 腎臓の役割と病気の仕組み
✔ 腎臓は以下の重要な働きをしています。
✔ 老廃物や余分な水分を尿として体外に排出
✔ 血圧の調整
✔ 赤血球を作るホルモン(エリスロポエチン)の分泌
✔ 体内の電解質バランスを維持
慢性腎臓病では腎臓の組織が徐々に壊れて機能が低下し、老廃物が体内に蓄積することで全身に影響を及ぼします。
3. 好発年齢とリスク
■ 年齢
- 特に10歳以上の高齢猫で多発。
■ 性差・品種差
- 明確な違いは少ないが、ペルシャやアビシニアンなど一部品種で発症リスクが高いとされる。
■ リスク因子
- 慢性的な歯周病や口内炎
- 高血圧
- 糖尿病
- 遺伝的素因
4. 主な症状
腎臓は予備能力が高いため、約60%以上の機能が失われてから症状が現れます。
■ 初期
✔ 水をよく飲む、多尿
✔ 体重減少
✔ 進行期
✔ 食欲不振、吐き気
✔ 脱水、毛並みの悪化
✔ 口臭(アンモニア臭)
✔ 貧血による元気消失
■ 末期
✔ けいれん、昏睡
✔ 尿がほとんど出なくなる
4. 診断方法
■ 身体検査
- 体重減少や脱水状態の確認。
■ 血液検査
- BUN、クレアチニンの上昇
- SDMA(早期発見に有効)
- 貧血の有無
■ 尿検査
- 尿比重の低下
- 蛋白尿
■ 血圧測定
- 高血圧の有無を確認。
■ 画像診断
- 腎臓の形態変化(萎縮や不均一性)を評価。
- 国際腎臓学会(IRIS)の分類に基づき、ステージ1〜4に分けて重症度を判定します。
5. 治療方法
慢性腎臓病は根治が難しいため、進行を遅らせ、生活の質を維持することが治療の目標です。
■ 食事療法
- 腎臓病用療法食が治療の基本。
- 低タンパク・低リン設計で腎臓への負担を軽減。
- 高カロリーで痩せにくく工夫されている。
■ 投薬治療
◆ リン吸着剤
- 血中リン濃度を下げる。
◆ 降圧薬(ACE阻害薬、ARB)
- 蛋白尿や高血圧を改善。
◆ 制吐剤・胃薬
- 吐き気を抑える。
◆ エリスロポエチン製剤
- 貧血が重度の場合に使用。
■ 補液療法
- 皮下点滴(自宅で可能な場合もある)。
- 脱水改善、老廃物排泄のサポート。
6. 予後
■ ステージ1〜2
- 適切に管理すれば数年以上生存可能。
■ ステージ3
- 平均余命は1〜2年程度。
■ ステージ4
- 数か月〜1年以内に亡くなるケースが多い。
ただし、飼い主さんのケア次第で大きく寿命や生活の質が変わります。
7. 飼い主さんができる日常ケア
✔ 水分補給を促す
- 複数の場所に新鮮な水を用意。
- ウェットフードを併用。
✔ 食事管理
- 療法食をできる限り続ける。
- 食欲が落ちたら温める、トッピングを工夫する。
✔ 体調チェック
- 毎日の飲水量・尿量を観察。
- 体重を定期的に測る。
✔ 定期検診
- 3か月ごとに血液・尿検査。
- 血圧測定も併せて行う。
✔ 投薬の徹底
- 薬を嫌がる場合は投与方法を相談。
✔ ストレスを減らす
- 静かで快適な環境を整える。
8. まとめ
猫の慢性腎臓病は非常に一般的な疾患であり、高齢猫にとって避けられない病気とも言えます。
✔ 初期は気づきにくく、定期健診が早期発見のカギ。
✔ 治療の中心は療法食と生活管理。
✔ 適切なケアで数年にわたり良好な生活を維持できる。
岡崎市で「猫がよく水を飲む」「体重が減ってきた」「シニア健診で腎臓の数値が高い」と言われた場合は、早めに動物病院で精密検査を受けてください。
ぶんペットクリニックでは、慢性腎臓病の早期発見から治療、在宅での補液指導までサポートし、飼い主さんと一緒に猫の生活を守ります。
